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【学歴詐称】
2024.05.27 発行 5月号~
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皆様
こんにちは!
上海迈伊兹兰玺人材咨询有限公司の向井蘭です。このレターは、弊社の谷、向井、龚がこれまでに名刺交換させていただきました皆様にお送りしています。毎月、中国における人事や労務の話題をお送りしておりますが、もし配信不要の場合、下記のアドレスへご連絡ください。
またバックナンバーは、弊社HP(http://myts-hr.com/column.html)にございますので、是非、ご確認ください。
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「誠信は能力より重要」
1 経歴詐称
中国は経歴詐称があまりにも多すぎるので、国が作成した確認サイトがある位です(https://www.chinadegrees.cn)。
今回は経歴詐称を理由とする解雇について取り上げてみます。
2 事案
2015年5月5日、徐は大魏公司に入社しました。職務はJAVAエンジニアであり、従業員入職履歴書には、「2011年上海情報管理専修学院(大卒相当)を卒業」と記載し「卒業証書」を提出しました。徐は会社と期間2年の労働契約書を締結しました。
2017年3月から、徐の職務は技術部門プロジェクトマネージャーになり、月額給与は25000元に昇給しました。
2017年5月5日、徐は会社と再び労働契約書を締結し、契約期間は2017年5月5日から2019年5月4日までとしました。
2017年11月1日、会社は徐に労働契約解除通知書を交付しました。解雇理由は「あなたが提出した『卒業証書』は国家指定の検索サイトに該当するものがなく、しかも会社がそれに対して疑問を呈した後に、あなたは合理的な説明をすることができませんでした。あなたの行為は会社に対する詐欺に当たるため労働契約を解除します。」でした。
徐はその後、労働仲裁を申請しました。
3 結果
労働仲裁は徐の請求を認め、会社は2倍の経済補償金を支払うように命じました。
会社はこれを不服として裁判所に訴えました。
一審裁判所は、「虚偽の学歴証明を提供することは詐欺手段を用いて労働関係を構築することに当たり、労働契約は無効であり会社は経済補償金を支払う必要はない」と判断しました。
この点、徐は「学歴は重要ではなく、私の能力は評価され、なんの問題もなく仕事をしていたのであるから解雇は無効である」と主張しましたが、裁判所は「徐は入社の際、従業員の入職履歴書に学歴を記入し、会社にその学歴を証明する上海情報管理専修学院の卒業証明書を提供し、しかも真実陳述に関する声明書に署名した。そのため学歴は労働契約の重要な要素である。」と判断し、労働契約は無効であると判断しました。
二審も同様の判断をしました。徐はそれでも納得できず再審請求をしました。再審では「誠信は能力より重要である」との名言にも似た内容で再審請求を認めませんでした。
案号:(2019)京民申1485号
4 誠信は能力よりも重要か?
難しい問題です。中国ではむしろ逆であるような気がします。会社が解雇をしたのも理由は経歴詐称だけではなかったのではないかと思います。通常の中国人経営者は、結果を出せば、利益を出せば、細かいことは通常気にしないからです。読者の皆様もそう思ったのではないかと思います。
私は中国の裁判官は、(本音はともかく)そのように判断せざるを得なかったのだと思います。なぜなら、この様に判断しないと経歴詐称を国家が認めたに近い内容になってしまうからです。採用の際は、是非上記サイトで学歴を確認することをお勧めします。
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