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蘭璽メルマガ24年4月号:【人事の仕事シリーズ29】スペシャリストを活かす雇用制度(1)
皆様こんにちは。上海迈伊兹兰玺人材咨询有限公司の谷公爾です。上海で経営コンサルタントをしております。このレターは、弊社の谷、向井、龚がこれまでに名刺交換させていただきました皆様にお送りしています。毎月、中国における人事や労務の話題をお送りしておりますが、もし配信不要の場合、下記のアドレスへご連絡ください。
またバックナンバーは、弊社HP(http://myts-hr.com/column.html)にございますので、よろしければ是非ご確認ください。
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人事制度にご関心のある皆様は、本稿のタイトルにある「スペシャリスト」という用語が、もう一つの「ジェネラリスト」とともに、特に一般社員層から上級層へ昇格する際の、複線型人事における選択肢として設定されることがある概念であることをご存じだと思います。
ジェネラリスト型の人材は管理職となって部下を持ち、スペシャリスト型の人材は専門職として腕一本で業績貢献する、というようなイメージですね。ただし、実際には日本企業でスペシャリストを選択される方は非常に少なく、管理者である課長や部長などに任命されながら、プレイイングマネジャーとして、個人としての実務も持ったままというケースが良く見られます。
「スペシャリスト」になると、「尖った」人材であることが認められたということになりますので、組織的な動きを一部免除されるなど、働き方が少し違ってくることが一般的です。例えば、分かりやすいところでは、日報提出が不要になって、月に一回、組織長に対する口頭報告だけで良いとか、不定時労働制が適用されタイムカードが免除されるなどがあります。これは日本国内だけの話ではなく、私の知る限り、中国の日系企業でも同じような制度になっており、また同じように、スペシャリスト認定される人材はごく少数ということになっているようです。実はこれは随分おかしな話です。
日本では新卒一括採用で人材の社内育成が前提になっているうえ、社内ジョブ ローテーション制度というものが多く導入されていて、特に大手企業になればなるほど、一定期間ごとに職場、職種が変わっていきます。ジェネラリストを養成するためには、営業も製造も経理も経験しておいて貰った方がいいという理由に加え、同じ部署に長く勤務することによる不正の発生を防止するという事情もあります。さらにちょっと口の悪い言い方ですが、「誰がやっても同じ」程度に各職場の仕事が標準化されているという背景もあるかもしれません。
しかし中国の場合、そもそも雇用契約で職種が合意されており、仕事内容も契約内で定められているため、原則としてローテーションは行われません。また中途の入退社が多く、最初から特定職種の即戦力として雇用される人材も相当数おります。そのようなタイプの人材をジェネラリストとして遇することは、社内規律的なメリットは多少あるかもしれませんが、能力を最大限に発揮してもらうという意味では疑問が残るのではないでしょうか。
ジェネラリスト人材は、社内の様々な部署を経験しているため、全体のバランスを調整しながら業務を円滑に進めさせることに長けており、また中期的に部下を育てて、ピラミッド型の安定した組織を強化するうえでは高いパフォーマンスを発揮します。しかし特定の分野では部下のほうがずっと優秀なこともありますし、一部の実務を残しているプレイングマネジャーでも、既に知識やノウハウが古くなっていて、新しい局面に対応できなかったりすることも発生しがちです。いわゆる「過去の成功体験に囚われてしまう」というケースですね。
上に「誰がやっても同じ」程度の標準化、と書きましたが、現代のような変化の激しい時代には、標準化されたノウハウは、日々更新されていく必要があります。専門上級職であるスペシャリストは、自分のノウハウを更新することに関心が高いため、昔のやり方を続けていると怒りだします。逆にそこまでのプライドを持たない一般社員は、過去のやり方をワンパターンで継続することが多く、これを修正させなければいけない上司がジェネラリストだと、そもそも新しいやり方自体、上司には分からないということになっていきます。
日本企業には真にスペシャルなスペシャリストが少なく、その結果、日本企業は地盤沈下してきたとも言われます。スペシャリスト活用は、企業の競争力強化に向けて非常に重要なテーマのひとつだと考えられますが、制度的にも習慣的にも、これがうまく進められていないというケースは多いようです。
単にスペシャリスト雇用に軸足を移し、これに適した「ジョブ型」と言われる制度に変えれば、優秀なスペシャリストが、ジェネラリストによる社内調整に頼らず、成果を出してくれるようになるのでしょうか。これについては、多くの組織論の専門家から、日本企業にジョブ型は極めて難しいとの指摘がなされており、実際に失敗例も増えています。
解決策の一つが、ジョブ型でもメンバーシップ型でもない、第三の雇用形態として注目を浴びている「自営型」なのではないかと言われています。ジョブ型雇用のように職務記述書ベースで決まった職務だけを切り取って提供するわけではなく、メンバーシップ型雇用のように自分の得意不得意に関係なく、満遍なく業務要求されるのでもない、というスタイルになります。次回、詳細をお伝えしたいと思っています。
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【執筆者紹介】
谷公爾 Tani Koji 札幌生まれ、茨城?兵庫育ち
広島大学工学部システム工学科中退、神戸大学経済学部卒、上海在住、満58歳
2003年から中国ビジネスに関わり、20年が経ってしまいました。戦略立案や営業強化などのコンサルティングを得意としてきましたが、せっかくの戦略が思った通りに遂行されない組織の問題に多く直面し、現在では人事組織強化のご支援が全クライアントの半数を超えるようになってきました。組織が変わり、業績が上がり、人材が元気になる。そんな企業作りをお手伝いしたいと思っています。
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