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蘭璽メルマガ23年8月号:【病気休暇を申請する従業員に、受診病院を指定しても良いか??!】
皆様
こんにちは!
上海迈伊兹兰玺人材咨询有限公司の龚骁毅です。このレターは、弊社の谷、向井、龚がこれまでに名刺交換させていただきました皆様にお送りしています。毎月、中国における人事や労務の話題をお送りしておりますが、もし配信不要の場合、下記のアドレスへご連絡ください。
またバックナンバーは、弊社HP(http://myts-hr.com/column.html)にございますので、是非、ご確認ください。
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中国の労働関連法規では、従業員が病気休暇を取得する期間中、会社が給与を支払う義務があり、さらに、一定期間、病気を理由として労働契約を解除してはいけないと定められています。出勤しなくても、給与を支払わなければならないため、病気休暇に起因する労使紛争が多発しています。
日系企業では、法律の要求通りに病気休暇を処理していることが殆どですが、従業員が提出する診断書の信憑性を確認するために、「会社が指定する病院で受診すること」や「2級以上の病院が発行する診断書」など、限定することもよく見られます。会社が指定する病院での受診を拒否した従業員を、処分することができるか、以下の判例がありました。
ある従業員は約20年間勤続ののち、2021年初に病気休暇を申請し、それきり一切出勤してきませんでした。半年後、会社から「会社指定病院で受診し、診断書を提出してください」と、通知されました。会社の要求に対し、当該従業員は「自分は最高レベルの三級病院で受診しており、会社の要求は権利の濫用に該当する。会社が受診に同行することは構わないが、自分は現在の病院に通い続ける。」と返事しました。
連続2カ月通知しつづけましたが、従業員が拒否したため、会社は紀律違反を理由とし、当該従業員を懲戒解雇しました。従業員は会社の解雇を不服とし、訴訟を起こしました。
裁判所は「違法解除」と認定し、2倍の経済賠償金の支払いを命じました。具体的には以下の理由があげられました。
1.会社が従業員を解雇、労働契約解除、減給、各種懲戒処分等を決定し、労働争議が発生した際、会社側が立証責任を負う。
2.本件の場合、従業員は大規模病院から発行された病気証明書などの資料を提出しており、会社もそれを受領している。
3.会社が従業員が提出した資料が虚偽だと証明できないまま、指定病院での受診を要求することは、事実上従業員に負担を課すもので、不合理である。
4.従業員は受診の同行を要求したが、会社はそれを拒絶した。会社が一方的に「命令に従わない」と認定することにつき、根拠が認められない。
会社は一審の判決に不服し、上訴しましたが、二審でも同じ判決が下されました。
会社は診断書の信憑性を確認するために、「2級以上の病院から発行される病気証明書」、「受診の同行」、「病院訪問」など、様々な方法を取ることができます。「会社が指定する病院で受診すること」を就業規則で定め、従業員に要求することも違法ではありません。ただし、それに従わない従業員をいきなり解雇すると、違法となるリスクが高くなると考えられます。
病気休暇時の処遇は、中国の法律上、従業員に付与された権利であり、病気中の従業員は弱い立場にあると一般的に考えられています。従って会社が解雇や減給など、厳しい扱いをすることで、従業員の権利を侵害しているという判断になりがちです。このため、就業規則等を通じて、会社が認める処理方法を明確に規定し、日頃より運用を徹底する必要があります。個別に問題従業員の処理をする際でも、法律上認められる証拠を集め、慎重に対応することをお勧めします。
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このレターは、弊社の谷、向井、龚がこれまでに名刺交換させていただきました皆様にお送りしています。毎月、中国における人事や労務法務の話題をお送りする予定ですが、もし配信不要の場合、下記のアドレスへ、不要とご連絡ください。
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