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【人事の仕事シリーズ24】エンゲージメント向上のための人事部門の仕事2
皆様こんにちは。上海迈伊兹兰玺人材咨询有限公司の谷公爾です。上海で経営コンサルタントをしております。このレターは、弊社の谷、向井、龚がこれまでに名刺交換させていただきました皆様にお送りしています。毎月、中国における人事や労務の話題をお送りしておりますが、もし配信不要の場合、下記のアドレスへご連絡ください。
またバックナンバーは、弊社HP(http://myts-hr.com/column.html)にございますので、是非、ご確認ください。
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前回(2022年10月)で、「社員の健康」について書かせていただきましたが、12月に新型コロナ規制がここまで大きく緩和されるとは想定していませんでした。各社社員の皆様の中には、後遺症が残ってしまったり、またご家族が重症化されたりといった方もおられるのではないでしょうか?
一旦の波は収まったかに見えますが、また変異株が到来することもあろうかと存じます。どうかくれぐれも、社員の皆様の生存欲求、安全欲求が脅かされることのないよう、各社でも万全の備えを行っていただけますようお願いいたします。
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さて本題「エンゲージメントを高めるための人事部門の仕事」です。エンゲージメント向上への取り組みは、その対象とするテーマとして、下記の順番を守ってくださいという話しをしました。
Stage1.社員が健全、健康である状態を作る
Stage2.社内コミュニケーションを活性化する
Stage3.価値観を合わせる
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Stage1.社員が健全、健康である状態を作る
貴社では社員の皆様が健康を増進するために、何らかの取り組みを行っていこうという「気運」がありますか?全員とは言わなくとも、多くの社員がマラソンに熱を上げているとか、スマートウォッチを使った歩数競争が盛り上がっているとか、睡眠や栄養に関する知識交流が盛んに行われているとか。健康に関心が高い組織では、社員達が自発的に、より健康であろうとする言動をとり、それがある種の社風になっています。健康に価値をおく組織はまた「病気になっても安心して休める」組織でもあります。
逆にこうした雰囲気の薄い組織では、健康管理はあくまでも個人の問題であり、仕事に支障がない限り誰かが肥満になっても、貧血気味であっても、大きな関心を向けられることはありません。白酒を一気したり、徹夜で資料を完成させたりできる社員が「根性と体力がある」として賞賛されるような組織は論外ですが、病欠すると非難めいた視線を向けられたり、ジムに通うために残業ができませんという社員が冷遇されたりという組織は今でも稀にあるようです。
こうした状況を変え、会社全体が「健康」であるために、人事にできることは下記です。
(1) 経営者との合意
(2) 健康増進支援策の実行
(3) 情報流通
(4) 個別管理と支援
順番に見ていきます。
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まず(1)は、「健康経営」を会社の方針のひとつに定めていただくことです。董事長、総経理、高級管理職の皆様が、自ら健康であることの重要性を明確に示し、どのようなことであっても良いのですが、自ら健康増進のための活動を実践いただく必要があります。できればゴルフのような一般社員にはお金が掛かりすぎるスポーツに限らず、運動ならジョギングやストレッチのようなハードルの低いものが好ましいです。食事管理であれば、怪しげな健康食品や、人によっては害をなす可能性のある糖質制限などはできれば避けて欲しいですね。いずれにせよ、経営者が健康に関心を持ち、自分自身も実践し、社員達にも薦めるという状態が作れるよう、人事は働きかけてください
(2)では、健康増進が「会社ぐるみの活動」になるように、制度やキャンペーンを仕掛けていきます。お金が使えるならジムの法人会員への入会、運動会の開催なども考えられますが、できる限り全社員が日常的に参加できるような、万歩継続ランキングとか、朝ご飯自慢大会とか、皆さんで知恵を絞っていただければと思います。年会などの機会を利用し、表彰や発表をすることも良い方法です。
一方、こうした活動は、一時的には盛り上がっても、何より継続することが難しいものです。(3)はまさにここを押さえるために、「業務」として最低でも月に1度、できれば週に一度くらいの頻度で、社員の皆様の活動や、経営者からのメッセージ、新設した制度や新たにスタートするキャンペーンの告知などを、社内に発信し続けてください。人事の仕事として組み入れてしまいルーティン化することが必要ですが、惰性になってしまって誰も気にしていないような状態にならないよう、耳目を引く仕掛けは常に心がけていきましょう。
最後に気をつけていただきたいことが(4)で、上記のような活動は「既に健康で、更に健康を増進したいと考えている社員」が中心になってしまう傾向があり、そうではない社員が疎外されないようにしてあげなければいけないという点です。プライバシー保護には十分配慮しつつ、持病のある社員、そもそも身体が弱く運動ができない社員、アレルギーなど特別の配慮が必要な社員など、ひとりひとりの事情を踏まえて、それぞれがそれぞれなりの健康増進に取り組めるよう、個別に相談に乗ってあげてください。
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以上のような活動を通じ、「社員ひとりひとりに健康であって欲しい」というメッセージが、社員に浸透していきます。もう一つ、心の健康を「健全」と言いますが、これについては、機会を改めてお話しさせていただくこととし、次回はStage2.の「社内コミュニケーションを活性化する」に移っていきたいと思います。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――【執筆者紹介】
谷公爾 Tani Koji 札幌生まれ、茨城・兵庫育ち
広島大学工学部システム工学科中退、神戸大学経済学部卒、上海在住、満56歳
2003年から中国ビジネスに関わり、20年が経ってしまいました。戦略立案や営業強化などのコンサルティングを得意としてきましたが、せっかくの戦略が思った通りに遂行されない組織の問題に多く直面し、現在では人事組織強化のご支援が全クライアントの半数を超えるようになってきました。組織が変わり、業績が上がり、人材が元気になる。そんな企業作りをお手伝いしたいと思っています。
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