中国進出の日系企業に向けて、人事・労務など幅広いコンサルティングを行います。
皆様こんにちは。上海迈伊兹兰玺人材咨询有限公司の谷公爾です。上海で経営コンサルタントをしております。このレターは、弊社の谷、向井、龚がこれまでに名刺交換させていただきました皆様にお送りしています。毎月、中国における人事や労務の話題をお送りしておりますが、もし配信不要の場合、下記のアドレスへご連絡ください。
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上海の封鎖が解けて、2ヶ月が経過しました。まだまだ通常通りとはいかない中、溜まった業務が一気に動き出し、特にこの7月は大変な思いをされた方々も多かったようです。大変、お疲れ様です!
さて、封鎖が解けたあと、皆様の会社では社員の皆様の出社をどのように開始されましたか?私がコンサルタントとしてご支援をさせていただいている会社は、その多くが人事に高い関心を持ってくださっているためか、できるだけ在宅を併用しながら、社員それぞれの状況に応じての選択肢を提供するような動きをしていただいています。
一方、お聞きする範囲では、もう6月14日頃から、原則として全員出社に戻したとか、その後の在宅勤務は、再度のマンション封鎖でも欠勤または有給扱いにするとか、かなり厳しい対応をなさったところもあったようです。
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業態などによっては、出社しなくてはどうしようもない、ということがありますから、一概には言えないのですが、例えば商社さんや、法人向けサービスを行っておられる、それこそ弊社のような諮詢系の企業であれば、全員が出社しなくても業務は相当程度、回せるはずです。
今回の封鎖を経て、「以前は、在宅勤務なんかさせたら社員はサボるに決まっている」と言っておられた経営者さんが、「期待以上どころではない対応を、社員ひとりひとりが自ら申し出て、在宅でやり切ってくれた。感動したし、反省した」という言葉も、複数お聞きしました。会社は社員を信用していなかったのに、社員は会社(または仕事)を大切に思ってくれていたのだなということなのでしょう。
会社と社員の間の信頼関係のことを、最近は「エンゲージメント」などと言ったりしますね。今回、上記のように、社員が経営者を感動させた例はあったものの、実際のところ会社が社員を信用しなければ、社員に会社を信用しろとは言えないよなあ、とは思います。
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さて、「エンゲージメント」ですが、これが高い組織では、低い組織に比べ、パフォーマンスも圧倒的に高くなることが、中国を含む多数の研究で証明されています。自社のエンゲージメントが高いか低いかも、社員に聞けば簡単に分かります。
このヒアリング項目として、
・会社の将来に絶対の自信がある
・良い仕事をすれば必ず認められる
・自分の強みを発揮する機会が毎日ある
等々の他に、
・自分にはいつも仲間が付いていてくれる、と信じられる
というものがあります。当たり前ですが、愚痴や文句を言う仲間ではなく、励まし合い、支え合い、時には激しく議論することがあっても、最終的に目指す同一の目的に向かって、切磋琢磨し、信頼し、協力し合える相手を、ここでは仲間と呼びます。
こうした社員同士、上司部下、さらには経営層幹部層と一般社員の間にまで、こうした健全な関係が築かれていくと、会社の風土が極めて好ましいものになっていくことは論を待ちません。
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この「風土」というものは、すぐには目に見えないのですが、「雇用」にも大きく影響します。
・そもそも口コミで良い評判が立っているので応募者が殺到する
・面接で会う人会う人、自信に満ちた表情で自社自慢をするのでつい魅了される
・会社と仕事が楽しくて仕方がない人が集まっているので、辞めたいと思えない
ではエンゲージメントを高め、良い風土の会社にするために、人事にできることは何でしょうか?
次回以降、複数回にわたり、「エンゲージメントを高めるための人事の仕事」について書いていきたいと思います。
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谷公爾 Tani Koji 札幌生まれ、茨城育ち
広島大学工学部システム工学科中退、神戸大学経済学部卒、上海在住、満56歳
2003年から中国ビジネスに関わり、まもなく20年になろうとしています。戦略立案や営業強化などのコンサルティングを得意としてきましたが、せっかくの戦略が思った通りに遂行されない組織の問題に多く直面し、現在では人事組織強化のご支援が全クライアントの半数を超えるようになってきました。組織が変わり、業績が上がり、人材が元気になる。そんな企業作りをお手伝いしたいと思っています。