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上海市人力資源と社会保障局
2016年6月27日
上海企業給与支払方法
労働者が労働を通じ労働報酬を獲得する権利を保護し、企業の給与支払行為を規範するため、「中華人民共和国労働法」、「中華人民共和国労働契約法」及びその他の関連法律法規の規定に基づき、本市の実際状況に応じ、本弁法を制定する。
一、 本弁法は、本市の行政区域における各類企業及び企業と労働関係を締結される労働者に適用する。個人経済団体、民間非企業組織及び法律に従い設立される会計事務所、弁護士事務所、ファンドなどの組織及びその組織と労働関係を締結する労働者について、本弁法を参考して実施する。
二、 本弁法でいう給与とは、企業が国家及び本市の規定により、貨幣形式をもって労働者に支給する報酬であり、時給、歩合給、ボーナス、手当、補助、残業代等を含む。
三、 給与は法定貨幣で支給するものとする。
四、 企業が銀行を通じ給与を支給する場合、定められた期限までに給与を労働者本人の口座に振り込まなければならない。
企業が直接的に給与を支給する場合、給与を労働者本人に支給し、受取サインの手続きを行わなければならない。労働者本人が給与を受領できない場合、労働者は代わりに親族或は他人に委託し、受領することができる。
五、 企業が書面で労働者給与の金額、項目、時間、本人名前等を記載し、監査のために関連規定に従い保管しなければならない。企業がいかなる方法で給与を支給しても、労働者に給与明細を交付しなければならない。
六、 企業は少なくとも月に1回給与を支払わなければならない。具体的な支給日は企業と労働者が約束するものとする。支給日が法定休暇日、或いは休息日であるとき、銀行を通じて給与を支給する場合、遅延してはいけない。直接給与を支給する場合、前もって支給しなければならない。
年俸制、或いは一定期間の業績に従い給与を支給する労働者に対し、企業は毎月最低賃金を下限とし、給与を前払いしなければならない。年末、或いは一定期間満了時に、給与を精算する。
七、 企業と労働者が労働契約を終了或は法律に従い解除する場合、企業が労働者との手続きを完了するときに、一括で給与を支払わなければならない。双方は特別状況について、法律法規の規定を違反しない約束がある場合、約束に従うものとする。
八、 労働者は法定労働時間内に、法律に基づいて公共活動に参加した場合、企業が通常の労働力を提供したと看做し、給与を支払わなければならない。
九、 企業は労働者に残業させた場合、規定に従い残業代を支払わなければならない。労働者が結婚休暇、忌引休暇、帰省休暇、病気休暇等の休暇期間を取得した場合、企業は法律に従い、休暇期間の給与を支払わなければならない。
残業代と休暇給与の計算基数は、労働者の所定ポジションの通常出勤月給であり、年末ボーナス、出勤退勤交通手当、食事手当、住宅手当、夜勤手当、夏の高温手当、残業手当等の特別な状況に支払う給与を含めていない。
残業代と休暇給与の計算基数は、以下の原則に従って決定する:
(一) 労働契約に、労働者の月給について明確な約束がある場合、労働契約で約定する労働者の所定ポジションの月給に従うものとする。実際の給与と労働契約の約定が一致しない場合、実際履行されている労働契約で約定する所定ポジションの月給に従うものとする。
(二) 労働契約に、労働者月給について明確な約束がない場合、集団契約(給与専用集団契約)で約束した労働者の所定ポジションの月給に従うものとする。
(三) 労働契約、集団契約(給与専用集団契約)に労働者月給について明確な約束がない場合、労働者が通常出勤した月は、本弁法第二条で規定する給与(残業代を抜く)の70%とする。
残業代及び休暇給与の計算基数は、本市規定する最低賃金を下回ってはいけない。法律法規は別途定めがある場合、その規定に従うものとする。
十、企業が生産経営困難で、キャッシュフローが影響され、定められた次期に給与を支給できない場合、本企業組合、或は従業員代表と協議一致で、1ヶ月以内に給与の支払を延期することが出来る。支給延期の期間は全従業員に通知しなければならない。
十一、労働者が試用期間において、正常な労働を提供した場合、企業が支給 する給与は、同種のポジションの最低給与の80%、或は労働契約で約定する給与の80%を下回ってはいけない。且つ本市規定の最低給与を下回ってはいけない。
十二、企業が給与計算周期内に業務停止、生産停止した場合、約定に従い、労働者に給与を支払うものとする。業務停止、生産停止が1給与計算周期を超えた場合、企業は労働者が提供した労働に従い、新たな約定に基づき、給与を支給することができる。ただし、本市が規定する最低給与を下回ってはいけない。
十三、 企業が必要により、法定標準労働時間以外に勤務させた場合、本弁法第九条で規定する計算基数で、以下の基準により残業代を支払わなければならない:
(一) 平日の法定標準労働時間を超え、労働者の勤務時間を延長させた場合、労働者本人の時給の150%を下限とし、支払うものとする;
(二) 休息日に労働者に勤務させ、且つ代休を手配できない場合、労働者本人の日給或は時給の200%を下限とし、支払うものとする;
(三) 法定休暇日に労働者に勤務させた場合、労働者本人の日給或は時給の300%を下限とし、支払うものとする。
法律に従い、歩合給与制が実行される企業において、労働者がノルマを達成した後、法定標準労働時間外に勤務した場合、以上の原則に従い、単価を調整すべきである。単価は一定の民主的プロセスを経て、合理的に制定しなければならない。
人力資源社会保障行政部門の許可を得て、総合労働時間制を実行される企業は、労働者の総合勤務時間が法定標準労働時間を越える場合、時間外勤務とみなし、本弁法の第(一)条の規定に従い、時間外勤務の残業代を支払わなければならない。企業が法定休暇日に労働者に勤務させた場合、本弁法の第(三)条の規定に従い、残業代を支払わなければならない。
人力資源社会保障行政部門の許可を得て、不定時労働時間制が適用される企業は、法定休暇日に労働者に勤務させた場合、本弁法の第(三)条の規定通りに残業代を支払わなければならない。
婦女節、青年節等の一部の公民休暇日において、公共イベントや企業が組織するイベントに参加し、或いは通常勤務した労働者に対し、企業は給与を支払わなければならない。ただし、残業代を支払う必要がない。当該休暇が休息日であり、企業が労働者に勤務させた場合、本弁法の第(二)条の規定に従い、残業代を支払わなければならない。
十四、日給は月給金額を21.75で割って計算する。時給は日給金額を8で割って 計算する。
十五、公共衛生の予防及び管理する期間中、感染症或は病原体携帯者と密接接触の疑いのある労働者は、隔離観察後に感染お疑いが排除された場合、通常労働を提供したとみなし、隔離観察間の給与を支払わなければならない。
十六、人民裁判所に管制、施行猶予を処された労働者は、元企業で仕事を継続する場合、労働者に給与を支払わなければならない。
十七、労働者が労働規律或は規則制度を違反し、企業が給与を下げる場合、減給された後の給与は本市規定する最低賃金を下回ってはいけない。
十八、 労働者が違法犯罪の疑いがあり、拘禁され、或いはその他の客観的な原因で、労働契約を履行できない場合、企業は労働者の給与を支給しないものとする。ただし、法律法規に別途定めがある、或は双方に約束がある場合、その限りではない。
十九、企業が破産する場合、《中華人民共和国企業破産法》、《中華人民共和国会社法》に規定される返済順位に従って、労働者に未払いの給与を返済しなければならない。
二十、企業は、労働者の給与を控除してはいけない。ただし、以下の状況が発生する場合、企業が給与を控除することができる。
(一) 労働者個人負担の所得税
(二) 労働者個人負担の社会保険金及び住宅積立金
(三) 裁判所の決定により、控除する養育費、扶養費
(四) 法律、法定の規定により、労働者給与より控除できるその他の費用。
二十一、企業が労働者給与を控除、或は理由なく給与支給を遅延、または最低標準を下回って労働者に支給、または労働者に残業をさせたが規定通りに支給しない場合、人力資源社会保障行政部門により、規定により定めた期限に給与を支給するよう督促する。期限を過ぎても支給しない場合、支給金額の50%以上100%以下の範囲内で労働者に賠償金を支払わなければならない。
二十二、労働者が本人の理由で企業に経済的な損失を与えた場合、企業は法律により弁償させることができる。ただし、給与から控除する場合、控除部分は、労働者当月の月給の20%を超えてはいけない。且つ控除後の給与は、本市規定する最低賃金を下回ってはいけない。
二十三、企業が労働者と労働契約を解除し、労働紛争になり、労働人事争議仲裁部門或は人民裁判所が企業の決定を撤回し、双方の労働関係を回復した場合、企業が調停、仲裁、訴訟期間の給与を支払わなければならない。その標準は企業が労働契約を解除する前の十二ヶ月の労働者の平均月給に支給中止月数を掛けたものである。双方に責任がある場合、双方が相応の責任を負担しなければならない。
二十四、非全日制の労働者の時給は企業と労働者の約定に従うものとする。ただし、本市規定する最低賃金を下回ってはいけない。且つ支給周期は15日間を上限とする。
二十五、企業と従業員代表が本弁法に確定される原則に基づいて、給与に関する集団協議等の民主的なプロセスを経て、企業の給与支払方法を制定することができる。全従業員に通知しなければならない。
二十六、 労働者と企業が給与の支払について紛争が発生する場合、当事者が法律に従い、調停、仲裁を申請し、訴訟を提起することができる。労働者が自分の権利を侵害されたと認識した場合、人力資源社会保障行政部門に申し立てる権利がある。
二十七、 本弁法は2016年8月1日より執行する。有効期限は5年とする。同時に《〈上海市企業給与支払方法〉の通知について》(沪劳保综发〔2003〕2号)を廃止する。