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皆様
こんにちは!
昨年11月25日、上海市政府は出産促進の目的で、育児休暇に関する法律を発表し、施行し始めました。法律の内容が比較的に簡単で、「3歳未満の子供を持つ従業員に対し、毎年5日間の育児休暇を与える。その期間中の給与は会社が負担する」と定めました。法律が発表された日から、多くの企業が従業員に育児休暇を与え始めました。ただし、法律で明確に定められていない部分が多く、かつ運用期間が短く、違法判例などがないため、育児休暇の運用について、多くの課題が残されています。以下、法律リスク回避の観点から、育児休暇運用中の各種問題を整理し、紹介させていただきます。
1. 法定有給休暇を全て消化した後、育児休暇の利用を許可してはいいでしょうか。
年末に未利用の法定有給休暇がある場合、200%の給与の買い取る義務が、法律で定められています。育児休暇について、法律では未利用日数の処理について、定められていないです。このため、一部企業は、「法定有給休暇→育児休暇の順で休暇を申請、利用する」と定めました。
上記会社の規定について、従業員が納得し、遵守していれば、特に問題が考えられません。ただし、厳密に法律を解釈すると、育児休暇は法律で定められる特別休暇で、その性質は結婚休暇などを類似し、該当事由が発生すれば、優先的に与えなければなりません。
2. 期限までに利用されていない育児休暇を、自動消滅してもいいでしょうか。
法律では、毎年育児休暇の期限は、子供の満1歳、2歳、3歳の時点と定めています。ただし、法律では、期限まで利用していない日数の処理方法について、言及していません。
法律リスク回避の視点から見て、育児休暇は従業員の権利のため、期限になっても、本人から法規しない限り、権利が消滅しません。このため、「期限までに未利用育児休暇がある場合、会社が利用日を指定することがある。」と社内規定を運用したほうが、無難だと考えられます。
3. 従業員入社時、当年度の在籍日数に応じて、日割して育児休暇を付与してもいいでしょうか。
新規入社する従業員について、一部企業は当該年度に在籍する日数に従い、育児休暇を比例して付与しています。ただし、この日割り計算方法を利用すると、育児休暇の日数が5日間に達さなくなり、違法リスクが発生します。
最も安心する処理方法は、当年度に前職で利用した育児休暇日数を申告させ、会社は前職で利用した日数を控除して、付与することです。
4. 従業員が離職する時点に、未利用の育児休暇が自動消滅してもいいでしょうか。
従業員の離職が確定された時点で、育児休暇の利用を拒否することができます。ただし、会社規程に、「従業員が離職する時点に、未利用の育児休暇が自動消滅とする。」と定めると、違法リスクが考えられます。従業員が離職しても、法律で定められる育児休暇の権利が消滅しないからです。ただし、「従業員が離職する場合、次の職場で未利用の育児休暇を利用できるため、会社は未使用の育児休暇について、一切の補償をしないものとする。」と定めたほうが、合理的だと考えられます。
以上のように、各会社は日常業務や全体管理を徹底するために、自社規定を制定しています。ただし、育児休暇の運用に関する細則や判例が不足する中で、会社規定は法律の考え方と一致しないこともあります。違法率が特に大きくないため、すでに従業員の納得を得て、運用されている場合、特に調整しないほうがいいですが、最新の情報を常に収集し、今後の法律細則の発表や判例などに従い、微調整する必要があります。