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こんにちは!
2021年11月25日、上海市人民代表大会常務委員会は「『上海市人口と計画生育条例』の改定に関する決定」(以下、「決定」と称す)を発表しました。事前に情報がオープンされていなかったため、驚かされた人が多かったです。ただ実際には中央政府が2021年5月31日に、計画生育政策の調整に関する意見を発表し、各省政府に対し、生育時の法定福利の調整を指示しており、上海市の調整は遅かった方です。
今回発表された「決定」は2つの部分から構成されています。前半部分は「三人目子供の成育(出産)が合法」と明確化されました。ただ上海市では複数の子供を産みたい夫婦が、多くない為、この部分は市民からもあまり関心が高くありません。後半部分は出産時の法定福利を変更し、一人を出産しても適用される部分にも関わる為、会社側からも、従業員側からも、驚きと弊社への問い合わせがが殺到しました。後半部分について以下の内容となっています。
1. 生育休暇の増加
従来、法律では30日の生育休暇が定められている。今回出産率を改善するために、生育休暇を60日に増加した。生育休暇中、社会保険から生育手当が支給されるため、会社側から給与を支給する義務はない。また、生育休暇は従来通り、産休と連続して使用し、休暇中に法定祝日があれば、その日数を順延する。
2. 新生育休暇の適用
60日まで増加した新生育休暇は、2021年5月31日まで遡って適用され、2021年5月31日以降子供を出産する女性従業員に対し、社会保険から30日分の生育手当を追加支給する。但し、会社もさらに30日の生育休暇を与えなければならない。一部会社に復職した従業員も、再度30日の生育休暇を利用することができる。
3. 育児休暇の付与
「決定」では、子供が0歳~3歳の間、毎年両親それぞれに対し、毎年5日間の育児休暇の付与を定められた。複数の子供を持つ場合、育児休暇も人数分で増加する。育児休暇について、以下のように定められた。
l 「毎年」とは、自然年度ではなく、子供が誕生してから、それぞれ1歳、2歳、3歳を満たす期間とする。
l 育児休暇期間中の給与は、会社から満額の給与を支給しなければならない。
l 育児休暇は原則的に付与される当年度で使用しなければならない。
l 育児休暇は一括使用、又は分割使用することができる。
l 法律改定前に出産した場合も、育児休暇が適用される。現在3歳未満の子供がいる場合、同じく育児休暇を与えなければならない。
上記「決定」の内容は、2021年11月25日から執行されます。この生育促進対策に対し、多く女性従業員から「30日の休暇か、30年の責任か。」で、冷やかな態度を示しています。ただし、法律で定められる権利であるため、従業員から享受できる休暇日数など、会社に確認されるケースが考えられます。子供の人数や誕生日などを把握し、早めに付与すべき各種休暇を計算しておいたほうがいいです。