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蘭璽メルマガ23年6月号:【就業規則で無断欠勤は1日あたり3日分の給料を差し引くことになっていますが、有効ですか?】
1 事例
2014年6月12日に入社した李さんは、2014年8月12日に退職した。李さんは労働仲裁を申立て,会社に滞納した給料の支払いよう求めました。李さんは2014年7月17日、18日、31日、8月1日に4日間無断欠勤しました。会社は、「会社の就業規則1.7.5条の規定」が「無断欠勤1日あたり3日分の賃金を控除する」と規定しているため、給料から12日間の給料を差し引いたのであり適法である。」と主張しました。労働仲裁委員会は会社の主張を支持しませんでした。会社は仲裁結果に従わず、人民法院に上訴しました。
2 判決
裁判所は、「労働者が受け取る賃金報酬は労働者が支払う労働の対価であるとし、会社が制定した就業規則には無断欠勤1日あたり3日分の賃金を控除する旨の規定があるが、この条項は公平ではなく、裁判所はこの条項を基にこの事件を処理することは行わない。会社が提供した勤務記録は李さんの4勤務日について無断出勤であることを証明することができるので、この4日の相応の給料を控除すべきではあるが、3倍の12日の給料を控除するべきだと主張を本院は採用しない。」と判断しました。
以上の理由で、裁判所は会社が李さんに滞納した給料を支払うよう(李さんが欠勤した4日分の給料を除く)ことを判決し、会社の他の訴訟請求を棄却しました。
3 結論
実際の勤怠を超えて賃金を控除することは違法である。
4 実務上のポイント
日系企業においても勤怠不良について罰金的な規定を置いている事例がまま見受けられます。特に工場の労務管理は綺麗事では進まず、罰則を厳しく科さないと規律が守れないこともよく理解できます。
ただ、中国の労働契約法30条によると「使用者は労働契約の約定及び国の規定に基づき、労働者に期限どおりに満額の労働報酬を支給しなければならない。」とされています。
就業規則を制定するには、手続きが合法で、内容が合法で、公平で合理的な原則を守らなければならないと言われています。その中で合理的ではない規定は無効と認定されます。このケースでは、採用会社の就業規則では従業員が1日の無断欠勤につき3日分の賃金を控除することができるよう規定されており、このような規定は無効と判断されました。
現在の就業規則をすぐに変えることは難しいかもしれませんが、争われたら負ける無効な条文や制度であることを認識をして運用されることをお勧めします。また、多額の違法な賃金控除を行った場合は賃金の不払いと認定されて経済補償金を支払うことになる可能性がありますのでご注意ください。
勤怠不良の場合は、査定の上、賞与の支給額、昇給額に反映することは適法ですので、こちらの方法をお勧め致します。